研修名:福祉・介護人材の確保・育成と定着の推進
副題:組織として求められる対策と取り組み
日時:平成30年12月3日
講師:株式会社ふくなかまジャパン代表取締役 眞辺一範 氏

内容:
 いまや日本は超高齢社会。2025年には団塊の世代が後期高齢者である75歳に達し、要介護者がピークとなる。介護スタッフは149万人(2012年)からさらに90万人増やす必要があるといわれている。また、生産労働人口は100万人減少するので介護スタッフの新規採用が極めて困難になり、今以上に人材不足は深刻になる。この現状を踏まえ、人材確保にいかに取りくむべきなのか、サービスの質を向上させるために人材育成をどのように考えていくのか、そして、競合する介護業界の中でどのように人材定着をさせていくのか、大きな課題となっている。
 今いるスタッフを辞めさることなく、辞職率を減らしベテランをいかに活用していくか。となると給与システムをどうするか。原資は同じで分配率を変えて若い者に手厚くし、60歳以後は再雇用とするような給与システムなどにより人材定着の仕組みに変えること。人材育成については新卒採用を諦めないで続けていくこと。若い人たちは給与で考えているのではなく、働き甲斐のある職場を求めている。しかし、いざ働いてみて人手がなく、きつい、リスペクトできる(モデルとなる)先輩がいないとなればすぐに辞めていくという傾向にある。また、有給休暇の消化率を上げることは人材定着の重要な要素。有給休暇を全部消化しても勤務が回るような人員体制にしないといけない。有給休暇がとれない事業所であるとレッテルを貼られると人が来ない。あっという間に噂が流れる。また、有給休暇を多く消化できるところは残業が少ない。残業があるところは有給休暇が取れないし、これは連動している。いま経営者に求められているのは残業をなくすること。
 退職理由として職場の人間関係がうまくいかないということが大きい。だから、いかに職場の人間関係を良くするか。これはチームビルディング。法則は2つ。1つは「主体性が高い」こと。やる気があるかどうか。自分で考えて決めて行動する。トップダウンの組織は自分で決めて行動させない。だから主体性が上がらない。1+1が2にならない。1+1が3になるようにするには権限委譲すること。そして本人にやらせて、その失敗も引き受けながら、うまくいくまで育てていかないと主体性が上がらない。チームを強くしようと思えば主体性のある者を3人以上置くこと。誰を3人に選ぶかというと決断の早い人。学歴・経験年数は関係なし。正しい決断かどうかではなく早いかどうか。これがリーダーの資質。そうでないと先送りする。人材育成のステップはモチベーションを上げることなのに決断しないと下げてしまう。間違いでもいい。早く決断する者を。早く決断する者は、間違いに早く気づく。また、失敗も認めるし「どうしよう」とみんなを巻き込む。そして「次どうしよう」とすぐ決断する。遅い者は慎重になる、正確にやりたいし考えてやろうとする。だからといってうまくいくものではない。決断が遅いと周りのモチベーションが下がる。決断の遅い人は絶対ダメ。
 2つ目の法則は、「相互作用」。助け合いのチーム。メンバー同志のつながりの強いチームはレベルが高くなる。だから飲み会(飲みニケーション)はいいこと。仕事を離れた場所で飲み会などをするから相互作用が働く。相互作用を受けると組織が強くなる。
介護人材を持続的に確保するためには、若年層への参入促進。いかにアピールするかが課題。きめ細かいマッチングで相手のニーズを取り込むこと。そしてキャリアパスの確立による資質の向上と適材適所の研修事業(事業所の方針にあった研修)と労働環境・処遇の改善。残業をゼロに近づけること。
 集団から組織に変えるチームビルディングは組織の目標と専門職の価値観を揃えていくこと。専門職としての倫理観や価値観があれば、クライアントに対しての福利の向上のための仕事をするようになり、クライアントの自己決定を尊重し、自覚し、実践するようになる。また、クライアントが本来持っている力を使えるように(エンパワメント)サポートするようになる。だから職業的・企業的倫理価値観を育てていくこと。人材マネジメントとは、企業や組織のビジョン・ミッション・戦略を実現するための人材活用の仕組みの整備と個人や組織に対する取組みのことで、キャリアパスを明確に示すこと。キャリアパスは未来の自分への道筋が明確になることで、未来が見えるとモチベーションが上がる。1・3・5年、10年後にどうなっているかが見えるのと見えないのとでは離職率に大きな差がある。給与が上がるとわかればモチベーションも上がる。
 「人を育てるということはモチベーションを上げて行動変容を求めていくこと。これをすることがコーチング。コーチングは質問して答を聞く。答を聞いているのは、コーチ側だけではなく本当は言った自分。言っている自分の言葉に刺激を受ける。コーチングは質問されて答えた自分の言葉に作用し、それが気づきになる。その質問してくれる人が傍いると主体性が上がる。コーチングのオートクラインを活用して主体性を上げていく。その時に、目標=理想とする姿を聞く。そして現状と目標のギャップを明らかにする。ギャップが明確化すれば行動変容する。その上で「明日からどうするのですか?」と尋ねたら行動に繋がる。このようなコミュニケーションを作っていくと主体性の高い人を育てることができる。マネジメントは実践の知識。自分の意思で部下を動かして成果を出すこと。何にしても人が基準である。