研修名:働き方が変わります
日時:令和元年6月12日
場所:兵庫県民会館 パルテホール
講師:山本 恵子 氏

内容:
 「労働基準法における労働時間の定め」これはもう当り前かもしれないんですけど労働基準法に関しては労働時間や休日に関する原則というのは2つしかありません。
 労働時間は、1日8時間及び1週間40時間、特例で44時間。もう1つ休日は、毎週少なくとも1日、特例で4週で4日間。この2つしかないんです。
 これを超える、或は超える可能性がある時に皆さん俗に言う「36協定」を締結し届けて頂く訳です。
 この労働時間について欠かせないのが「所定」と「法定」という概念です。いわゆる残業、時間外労働ですね。会社で定めた所定労働時間を超える時間の事を指すと思ってる方が結構多いです。
 でも時間外労働というのは、法定の1日8時間ないし1週40時間を超える物の事をいう。所定というのは会社の決め事、法定は労働基準法という法律で定められたものです。勿論、所定は法律以上でないといけない訳です。
 もう1つ、休日労働についても同様です。所定休日とは、会社で決めた休日です。一方、法定休日というのは、週1回か少なくとも4週4日。つまり、法定休日に労働した時間の事を言うんです。それが、休日労働時間です。
 これまでの時間外労働の上限というのは、労働大臣の告知によって決められていました。つまり、法律で明確な定めが無かったのです。大臣告示による上限、一応限度時間は、月はありましたが、年間とか1か月の上限が無かった。
 36協定もフォーマットが変わってます。
 上限規制への対応という事で、何に気を付けないといけないのか、実労働です。月の時間外労働と休日労働の合計が毎月100時間以上になってはダメです。時間外労働と休日労働の合計について1カ月当り平均80時間を超えない事。どういう事かと言うとある月だけを単月だけ見ればいいという事ではなくて、遡って2か月、3か月、4か月、5か月、6か月の平均を見て80時間以内に収まっていないといけない。ひと月でも80時間を超えてしまったら特別条項に休日欄に書けば可能です。でも、80時間超えてしまったら他の月との調整が必要になります。また、36協定の期間でリセットされません。
 派遣の方を受け入れている事業所も関係ある話です。どういう事かと言うと、36協定というのは派遣元、つまりその人が所属する企業で届出・締結をします。
 一方働くのは派遣先です。もし36協定の上限を超えて労働させた場合は、派遣先企業が法違反になる訳です。現場は派遣先にあります。あくまでも現場はどこかという事が判断基準になるという事です。
 もう1つ、同じ企業でも事業所がいくつかあります。皆さんが36協定に合わせて転勤するのではないので36協定期間の途中で当然、A事業所からB事業所に変わるという事が充分ありえます。1か月100時間未満、それから2か月~6か月平均が80時間以下。これは通算されます。
 でも36協定というのは事業所単位なので年720時間は、通算されない。
 年休の発生要件と付与日数、年休というのは色々あります。まず計画年休、計画的に取得日を決めて取ってもらう。自由に使える5日分は確実に残さないといけません。
 時間単位年休、これは1時間とかで取れるという労使協定等が必ずいります。
 今回の改正では、年次有給休暇5日の確実な取得という事で、年次有給休暇が2019年4月1日以降に新たに10日付与される労働者が対象です。勿論管理監督者なんかも含まれます。それはいつ取るの?という話なんですけど、例えば今年4月1日にフルタイムで入社、半年後の10月1日が付与日です。基準日です。
 そこから1年の間に、使ってもらわないといけないという事です。という事は、4月1日から9月末までは法律の適用除外です。例えばこの付与される基準日というのが3月1日の人、という事はこの4月1日から2月末までは法律の適用除外です。
 1つ抑えて頂きたいのは、これはこの5日というのは会社に付与義務がある。
時季指定というのは、まず時季を指定するという取り方をするとするならば、使用者が労働者に取得時期の意見を聴取する。この意見を聴取は、義務です。
 次に労働者の意見を尊重し使用者が取得時期を指定する。ここは努力義務の様な物です。
 これまでは有給の取得に関しては勿論自分が指定して取得するのが1つ、本来の有休のとり方です。2つ目はさっき説明した労使協定で計画年休、計画的に取得日を決めて取ってもらう。今までは、この2つしか有りませんでした。ところがこの年休を確実に取得させるために、使用者による時季指定という新たな方法が認められたという事なんです。だから有休に関しては3つの取り方が、取らせ方があると理解ください。
 年次有給休暇管理簿を、労働者毎に作成して3年間保存しなさい。当該年度を入れたら、実質4年間です。
 年休を取得させないといけないという恐ろしい法律は、労働基準法第39条第7項です。これで取得させなかった場合は30万円の罰金。この30万円は、「法人単位ですか」と聞かれます。「労働者1人単位です」とお答えするしかありません。
 ただ管轄の監督署が、すぐに「はい罰金」とは言いません、行政の指導責任もあるので、まずは行政指導をしていくという事になろうかと思います。
 罰金が出てくる範囲ですので、実際の所どうやって取ったらいいんでしょう、という話なんですが、とても簡単にできるのは方法2かなと思います。
 方法1は基準日を皆で統一する、そこそこの大企業さんやったらあるんです。人数多いからそんなもの管理してられないから。だけどある程度の人数でしたら管理可能ですので、方法2だけは知っていたら楽。というのは例えば月の途中で入社された人を付与する時は月初めの1日に付与する。それ位は別にたいしたことではないので基準日は1日という風にしとけば、小さな改革ですけど楽かなと、基準日を1日に統一するというのはものすごく簡単に出来るかなと思います。
 厚生労働省のホームページに改正労働基準法に関するQ&Aも見れるようになっていますのでその辺も見て頂いたら良いかと思います。