倫理及び法令遵守とプライバシー保護セミナー
2018年11月9日
研修名:倫理及び法令遵守とプライバシー保護セミナー
副題:私は関係ない?私はきちんと守っている?大丈夫?
日時:平成30年11月9日
講師:株式会社アドバンス・ケアシステム 河野次雄 氏
内容:
指定取消や全部停止、一部停止などの行政処分のあった事業者数の推移を見ると増加傾向にある。一番多いのは不正請求。不正請求は故意の場合が多い。例えば、週2回の訪問介護を3回にして算定したり、デイサービスの時間を長く算定したりしている。運営基準違反や人員規準違反では、看護師がいないのにいるものとして算定しているケースがあった。虚偽答弁では指導監査の際に、無い資料を、あると返答し、辻褄あわせをしたことが判明して即座に取消しになった例もある。無いものは無いと正直に答えること。
介護保険法や同施行法等関連法令以外にも就業規則や社内マニュアル、社会規範など遵守しなければならないことは多い。私たちの仕事は介護保険料で成り立っている。半分は税金、半分は保険料である。65歳以上の方で、要介護認定を受けられている方は約20%。要介護認定を受けていない方(80%)は、月5,000円ずつの保険料を払っているだけ。私たちが見えるのは利用者、次に家族である。しかし、その周りには保険料を払い続けている方々がたくさんいる。その人たちで私たちは生活をしている。介護を受けている人たちだけが対象ではない。一般(地域)の目があることを忘れてはならない。こんな中で介護事業を行なっている。だから違反できるわけがない。
40歳以上の方も保険料を払っている。将来、自分が介護を受けるかもしれない。親が介護を受けるかもしれない。その人たちは「介護で働いている人たちはどういう人だろう」と見ている。地域の人たちに見られている。私たちは、ご利用者のほうばかりを見がちであるが、地域の人たちに支えられている気持ちがないといけない。襟を正して仕事していかなければならない。その観点が抜けるから「これでいいや」と軽く思ってしまう。社会のルールまで守っていく意識が必要。公金を扱っている仕事であることを忘れてはならない。
また、いまインターネットの時代。気軽にSNSに繋がっている。ご利用者の介助の風景を友人に送ったところ、これが拡散し発信先が特定された。通報を受けた市は虐待の疑いがあるとして介護施設を監査した。また、医療施設の手術台の患者のそばに立つ医師や看護師がVサインしているところをインスタグラムに投稿・拡散し、院長は謝罪会見をした。投稿したものは半永久的に保存され、多くの人が閲覧可能である。そして瞬時に拡散してしまう。完全な匿名は存在しない。気軽であるが故に扱いについて細心の注意が必要。
情報管理を徹底するには、①情報持ち出しルールの作成→原則禁止(持ち出す際のルールづくり)、②ケースファイルの管理→施錠管理、③持ち運び個人情報管理ルール→統一した専用BOX、④携帯、スマートフォンの紛失を想定した設定管理→ロック機能(外部から消去できるよう設定)⑤携帯、スマートフォンのメール取り扱いルールの設定→送信後すぐに削除、⑥FAX送信時ルールの設定→登録(登録がないときは3回連呼、複数確認などのしくみ)、⑦FAX送信文書のルール設定→個人情報を伏せ字にする(山田一郎→山〇一〇)、⑧メール添付文書送付時のルール設定→パスワード設定(次のメールでパスワードを送付)、⑨その他、広報誌、ホームページ、研究、実習生対応→学校等との契約が必要である。
高い倫理観を持ち法令を遵守する風土を醸成し、不祥事を起こさない職場を作るためには、Broken Windows Theory(敗れた窓ガラスはすぐに補修する)の実践、定期的な個別面談の実践、ボトムアップの新たな企業理念の制定、定期的な研修会の実施、ブラザー・シスター(プリセプタシップ)制度の制定、定期的なイベント開催などが必要であると講師からの提案があった。