感染症予防対策研修 ~高齢者・障害者事業所の対策~  平成29 年10 月26 日に兵庫県立がんセンター 感染管理認定看護師 和田二三氏をお招きして感染症予防対策研修を開催しました。

〔研修のポイント〕
 入所施設は生活の場、免疫の低下した人の集団生活の場。入所施設は病原体の侵入門戸が少なく、持ち込むのは職員・面会者・ボランティア・実習生・利用予定者など。そこを押さえ込めば排除できる。感染源の排除をするには水際作戦が大事。感染対策3 原則は、感染源(病原体)を「持ち込まない」「拡げない」「持ち出さない」こと。
 感染症は「病原体→病原巣→排出門戸→感染経路→侵入門戸→感受性宿主」のループとなっている。排出門戸の経路遮断が必要。病原体そのものは清掃・洗浄・消毒・滅菌で減らすことができる。感受性宿主は感染をもらった人の免疫状態が高いかどうか、元気かどうかによって変わる。この6つが揃って感染症が成立する。感染を防ぐための方法は、この6つのループを遮断すること。遮断するには、①病原体をなくす→清掃・洗浄・消毒・滅菌、②感染巣→治療、③排泄門戸→経路の遮断が必要。 感染対策は、常に行うもの。流行期や事件が起こったときに頑張るものではない。日常的対策(標準予防策)を踏まえておくこと。
 対策のポイントは、①手指衛生、②個人防護具の使用、③咳エチケット、④ケアに使用した物品の処理、⑤環境の整備、⑥リネンの取り扱い方をしっかりと行なうこと。「してはならないこと」として、①布タオル→べースンの使用、②固形石鹸→みかんネットの使用、③容器への継ぎ足し、④ペーパータオルがシンクなどで濡れている、⑤シンク周りにアルコール手指消毒
剤を設置、⑥エアータオルの使用。
 高齢者の感染リスクは、過去の治験経験による多剤耐性菌の保菌が考えられること、免疫機能低下による外因性感染を受けやすいこと、生体バリアが破綻しやすいこと、加齢による内因性感染リスクがあること、である。重篤化させないためには、事業所として感染対策に関する指針を立て、感染対策マニュアルを作り、その手順を全員が把握できていなければならない。「マニュアル・手順書」があることと「感染対策を実践している」こととは違う。入職時や定期・継続研修の体制を確立し、対策を遵守しているか、常にチェックしておくことが大切。とお話されました。