ターミナルケア研修 平成29 年9 月22 日に社会福祉法人関寿会特別養護老人ホームはちぶせの里 施設長 中野穣氏をお招きしてターミナルケア研修を開催しました。

〔研修のポイント〕
 人はどう生まれてくるか選択できない「人の宿命」がある。親の判断によって我々は命を授かり自立して生きている。自分の判断によって、したいこと・したくないこと、好きなことなど選択して生きている。その人生の最期の自己決定は自分がどう死にたいのかである。どのような生活風景のなかでターミナルを迎えたいかは、自分の人生における最後で最大の選択・自己決定。その最後の場を支えていくのが看取り。倫理的に適切な見取りとは、①無益な延命治療をしないで自然の経過で死にゆく高齢者を見守るケアをすること、②見取りに入る条件や医学的に末期であり治療の無益性が明確なこと、③積極的治療を望まない本人意思があること、④家族の同意があること、⑤意思決定に際して手続的公正性を確保すること、⑥社会的コンセンサス(同意)があることである。
 昔は家で家族に看取られるのが前提であったが、今は在宅見取りでも家にこもらず外へ出ていく時代。ショートやデイを利用する。通所系・滞在型では、家族・主治医が不在で、サービス利用中の心肺停止時の対応が課題。この場合、看取りの取り組みを証明することが困難であれば、救急搬送する。第三者であるサービス事業者の立場であれば搬送する。デイ利用者の看取りは口約束であればサービス事業者は困るもの。看取り時の緩和ケア、事故における救急対応は共通理解が必要。
 共通理解とは、①心肺停止時に「心肺蘇生」、「AED」、「救急搬送」はしない、②緩和ケア、事故による怪我等に関する治療は積極的に実施、③看取りに関する意向に変化があれば医師等専門職に伝える(意向はいつでも変更可能)の3原則。ここまで説明すると家族は理解され、安心される。
 最後に「看取りはプロセスを踏みながら自己決定を優先する時代。しかし、在宅での看取りはQOD を考えたときに、結果的に救急搬送したほうがよかったとなることもある。不安な場合は1 人で抱え込まずに、看護師・家族・ヘルパーなどに相談すること。そうすると客観性が見えてくる。「私ならどうしてほしい。」とのみんなの意見を踏まえ、みんなで決める習慣づけがあれば、心が軽くなる(整理・共有できれば心が軽くなる)。1 人で決めかねるときには、みんなで課題を共有し、本人の最大利益最大福祉を考えてプロセスを踏めば整理しやすくなる。」とまとめのお話をされました。