介護事業所の経営・組織強化セミナー
2016年12月14日
平成28年12月14日、日本クレアス税理士法人上田公認会計士事務所 大藪直史氏とクレセール代表 林充宏氏をお招きして「介護事業所の経営・組織強化セミナー」を開催しました。
《介護保険制度改正のポイント》
介護保険3年/1回、医療保険6年/1回の見直しのダブル見直しが平成30年。また、平成29年度から始まる総合事業では財政の厳しい市町村は給付内容が下がる可能性もある。また、民間企業が新しいサービスを提案しているなか、介護事業所においても複合事業の展開で利益幅を確保し、保険外サービスの展開のためにマーケティング意識を高める必要がある。
混合介護の弾力化についても着目。これにより介護員の報酬に上乗せしやすくなる。具体例として、サービス提供時間内に同居家族の食事の支度を低料金かつ効率的にサービスを提供すること、特定の訪問介護員を希望できる指名料を徴収すること(人気のあるスタッフは給料が上がる)など。H29年度からの処遇改善加算では、経験もしくは資格などに応じて昇給する仕組み、または一定の基準に基づき定期に昇給する仕組みで経験・資格・評価の人事制度の仕組みにより反映させるもの。
今回の改正では、地域共生社会を謳っている。高齢者・障害者・児童(保育)各サービスを同じところで行う。富山型デイサービスは、高齢者と障害者・児童が同じところで給付の算定ができる仕組み。福祉の縦割行政をなくしていこうというもの。利用者が増えていくのに職員が足りないのであれば1つの場所で支援ができたらよいとの考え。分け隔てなく1つの事業所で高齢・障害者・子供もサービス提供していく。今後、障害者と高齢者サービスを融合させ、高齢障害者の介護保険サービスの円滑な利用を進める可能性がある。H30年以降は介護と障害の連携というのは大きなテーマとなる。障害サービスは介護サービスに比べて事業所が少ない。今後、障害サービスをやっていく介護事業所が増えてくると考えられる。また、介護事業所数は増え、需要と供給の関係で利用者が集まらなく、一事業所の利用者数が減ってきている。事業所は、デイ・サ高住・特養・障害者サービスなどへの事業展開を検討し、生き残りを図るべきである。
《介護事業所の経営・組織強化》
経営はマネジメントをしないと潰れる。だから複合事業の導入などの中期計画を立て、保険外サービスに着手するために環境整備をする必要性がある。介護保険法の動向にアンテナを敏感にし、コンプライアンスリスクをクリアできる体制と人材への帰属意識の強化、経営・マネジメントの実践をする視点が大切である。複合事業によりリスク分散と利益の確保を図るべきである。今後、報酬単価が下がり人件費が上がることを考えれば、複数の事業を戦略的に展開し、利益幅を確保することが必要である。保険外サービスは活用ガイドブックが出来ているが事例が少ないため事業所は躊躇しているし、自治体も模索状態である。だからこそ市場調査すべである。しかし、介護事業所はマーケティング意識が少ないところが弱点ともいえる。
「介護保険サービス」はマイナスをゼロに、「介護保険外サービス」をゼロからプラスにしていくことである。「お金を出してでもいいからよりよく暮らしたい」ニーズがあるから、そこにマーケティングが必要となってくる。そのためには、地域の課題を知ることである。ケアマネの地域の状況把握力が大きい。
経営・組織強化を図るためには、①方針を決める・定め、②最適に「人・もの・金」の資源分配をし、③人を動かす工夫(人財の活用)と④環境整備である。経営を「財務・顧客・業務プロセス・人材の学習と成長」の視点から分析・評価すること。
後半では、この管理手法であるBSCを活用し、自分の組織の現状をチェック。組織の管理者・監督者としてのマネジメント力の分析ができたよい機会となった。