感染症予防対策研修 平成28年11月30日に兵庫県立がんセンター 感染管理認定看護師 和田二三氏をお招きして感染症予防対策研修を開催しました。

〔研修のポイント〕
入所施設は生活の場、免疫の低下した人の集団生活の場。入所施設は病原体の侵入門戸が少なく、持ち込むのは職員・面会者・ボランティア・実習生・利用予定者など。そこを押さえ込めば排除できる。感染源の排除をするためには水際作戦が大事。感染対策3原則は感染源(病原体)を「持ち込まない」「拡げない」「持ち出さない」こと。

感染症は「病原体→病原巣→排出門戸→感染経路→侵入門戸→感受性宿主」のループ。排出門戸の経路を抑えること。ノロウイルスは排泄物から。下痢があってからでは遅い。下痢したら対策するのではなく、発症しない人もいることがあるという対策が必要。

感染対策は、常に行うもの。流行期だけ、事件が起こったときに頑張るものではない。日常的対策(標準予防策)をきっちり行っているかどうかが明暗。これを行っていると流行・集団発生時の対策を講じなくてもよい。すべての利用者に標準予防策を行い、感染を疑われる利用者に対しては、その上で接触・空気・飛沫の感染経路別予防策を行う。

感染経路は、空気感染、飛沫感染、接触感染の3つで8割方は接触感染。感染経路のしくみとして、感染している人と直接触れ合うこととその人が使ったもので感染することの2つの経路がある。飛沫・空気感染経路は、飛沫が近くの人に付着する・吸い込むことにより感染する。空気感染は、結核菌・麻疹・水痘から。接触感染は、今からの時期としてノロウイルス、O157など。

標準予防策を踏まえた感染対策で常に行っておく対策のポイントは、①手指衛生、②個人防護具の使用、③咳エチケット、④ケアに使用した物品の処理、⑤環境の整備、⑥リネンの取り扱い方の6つ。

してはならないこととして①布タオル→べースンの使用、②固形石鹸→みかんネットの使用、③容器への継ぎ足し、④ペーパータオルがシンクなどで濡れている、⑤シンク周りにアルコール手指消毒剤を設置、⑥エアータオルの使用。

高齢者の感染リスクは、過去の治験経験による多剤耐性菌の保菌が考えられること、免疫機能低下による外因性感染を受けやすいこと、生体バリアが破綻しやすいこと、加齢による内因性感染リスクがある。重篤化させないためには、早期発見が鍵となる。「何か変」という感覚を大事にすること、ちゃんと記録して引継ぎをしっかり行うこと。感染症対策を進めるには「高齢者介護施設における感染対策マニュアル」にチェックリストも含めて標準的な対策を網羅されているので参考になる。

組織で取り組む感染対策は、管理者(施設長)の高い感染対策意識のもと、感染管理体制の組織化、感染管理担当者の配置、従業者の管理者・感染管理担当者への支援(協力)体制の構築、協力病院・保健所との連携を日常的に行うこと。事業所として感染対策に関する指針を立て、感染対策マニュアルを作って手順書を全員が把握できていなければならない。「マニュアル・手順書」があることと「感染対策を実践している」こととは違う。入職時、定期・継続研修体制を確立し、対策を遵守しているか、常にチェックしておくことが大切。と、お話されました。