福祉・介護サービス事業者に求められる「プライバシー保護」と守るべき「個人情報保護」の知識とは 【講師】聖カタリナ大学 人間健康福祉学部 教授 山本 克司氏
【講義内容】
(はじめに)今回の研修テーマについては、コンプライアンス・リスクマネジメントの観点から考察していきます。基本的人権とは?自己実現{(自分の思いの実現)=しあわせ}を目指す権利。社会保障制度、福祉サービスは自分らしい生き方を支援する、あるいは自由を回復していく事であり、回復させる手段です。しかし、障害や加齢、児童であるため、自由だけでは生きていけない状況が生まれます。そのため、適切に介入するのが福祉(個人の尊厳を守る)の役割です。
(現状)「福祉・介護」・・・個人の領域に入っていく→公共の福祉として調整に入っていく。ネット社会=情報管理、個人情報の入手は個人の尊厳を守るために扱うべき。一方で情報化社会は、「個人情報の漏洩」の危機場面であり損害賠償責任を伴う。一旦流出すると取り返しがつかず、元に戻せない。お金での解決は出来ず、社会的信用の失墜を招く。
(対策) 情報管理の徹底を意識化する。PCの公私の区分、FAXの誤送信の撤廃。情報管理、プライバシー権の保護は、適切な情報入手と適切で慎重な取り扱いが必要。第三者への情報提供は原則「本人同意」(4例外 虐待・警察権・財産・生命)利用者の意思尊重(家族の意思であっても) 行事写真の掲載、研修事例(匿名化・同一法人内は職員)サービス開始時に、訴訟対策として文書同意を取り交わす。
(まとめ)福祉、介護現場は、ありとあらゆる情報が集まり、外部へ持ち出す機会(家族歴・病歴・犯罪歴等)もある。 一元管理が困難で常にリスクがある施設環境。組織管理として、守秘環境を整備する。厳しい目が注がれており、管理体制、プライバシーポリシーの確立が必要である。苦情(黄色点滅)窓口の機能を、日常的に活用する。福祉施設のプライバシー侵害、情報漏えいは、防止できない、有り得ることと受け止め隠ぺいするのではなく、リスク管理対応を構築することが大切である。
(質問)死亡された方の情報 (回答)軽々に言わない。財産管理などの問題が発生する。