認知症高齢者セミナー
2014年12月2日
講義Ⅰ~認知症高齢者の理解と現場での課題解決~
【講師】医療法人社団 大有会 井上病院 看護部長 川原 道代氏
【講義内容】
今回の研修目的は自己覚知。自分自身の傾向を知る事。自分自身を知った上で学び、自己変容することが大切。 認知症の捉え方 問題点を明確にする。→「なぜ?」「なぜ?」・・・を5回
(心が身体に及ぼす影響)→自律神経
大嫌いな人:交感神経が優位になると不眠や食欲不振を引き起こす。
大好きな人やほっとする人:副交感神経が優位になる
(介護)ルーチン業務は、未経験者でも可。プロは自立支援を目指す。「なぜ、食べられないのか?」等、身体機能面外から原因を探る。
「認知症」脳神経萎縮 中核症状:記銘障害(覚えこむことが出来ない病気)や見当識障害 周辺症状:暴力・不眠・徘徊等
傾聴:「不安」が状態を悪化、不安除去。 方向性(目的や介護観)を同じくするチームケア。医学的知識やコミュニケーション技術が必要。評価と修正を必ず実施する。
認知症:症状でなく個人を観察し行動を追求する。自分の居場所がある等、関わりにより変化する。無知は罪である(認知症家族の会)。
講義Ⅱ~認知症の方の心に触れるバリデーション~
【講師】関西福祉科学大学 准教授 都村 尚子氏
【講義内容】
バリデーションの大切な部分と入口部分についての学び。 認知症A氏(妄想)との出会い。(特養で介護業務を担当)
・A氏との関わり:当初の傾聴と緊張感の変化→「話を聞いていない」と激高し杖で殴打される。
「なぜ?」、わからないままにスルーし距離を置く→その後、暴力・暴言増幅へ
医師の助言:病気、認知症の進行であり抗精神薬による感情抑圧。精神活動低下。無表情な徘徊、植物状態化へ。
・2001年 きのこ老人保健施設で、スタッフが抗精神薬を減らす努力。 ・2002年 ナオミフェイル(米SW・70歳)バリデーションの日本研修受講 ・認知症は、後発性知的障害で言葉を理解することが困難であり、コミュニケーション手法として非言語(視線・表情・態度等)的コミュニケーション技術が必要である。 ・家族や介護者は帰宅願望や拒否に対して「どうして分ってくれないの」と叱責しがちであるが、当事者には金切り声や叱責態度の負の感情だけが残る。 ・感情をブロックせず、バリデーションの基本テクニックのひとつであるアイコンタクトやカリブレーション(感情を観察し我々が一致させていく方法)等を用い感情を共感することが大切である。
(最後に)認知症の方の訴えや行動には、必ず理由がある。周辺症状のみで処理をせず、言葉の出る人には「何故?」、「どこへ?」等の言葉かけを行い、共感していくことで強い抵抗や拒否の軽減につながる。