ターミナルケア研修
2015年11月6日
社会福祉法人 関寿会 特別養護老人ホームはちぶせの里 中野穣 氏を講師にお迎えし、ターミナルケア研修「平穏死を見据えた看取りを行うホーム事例とは」を開催しました。
今、特養では70%が看取りを行っています。自宅で最期を迎えたいと思っている日本人は60%を超えます。この世での生をどのようにして終えたいか、どのような生活風景のなかでターミナルを迎えたいかは、自分の人生における最後で最大の選択・自己決定となります、適切な看取りとは、国際長寿センターの定義によると、①「無益な延命治療をしないで自然の経過で死にゆく高齢者を見守るケアをすること」②見取りに入る条件は医学的に末期であり治療の無益性が明確であることや積極的治療を望まない本人意思、家族の同意があり、意思決定に際して手続的公正性や社会的コンセンサスがあること、といわれています。
代理判断(主に家族)は本人の延命治療に関する事前指示を書面に表したものが必要で、書面がない場合、常日頃から本人の意思を確認しておき、「うちの親はこう言っていました。」という確たるものがあることを得ておく必要があります。代理判断者は患者本人の価値観・人生観を考慮し、それと矛盾がない判断を本人に代わってなすこととなります。その判断は「本人にとって最も良いと思われる決定を代理判断者がすること」が最善の利益判断となりますので、それは医学的事実と利用者の価値観を考慮して利用者本人の立場で考え、関係者がよく話し合って決めることです。最終判断は代理判断者です。ご家族の判断の際には、誘導的に話をしない、ということを注意しなければなりません。
福祉施設では、体調がよければ少しでも離床して人の中で過ごすようにすることができます。これは施設における緩和ケアであり、施設にしかできないことです。また、安楽のための専門的ケアも緩和ケアであり、死に行くプロセスの向上といえます。
サービス利用時(家族・主治医不在)に看取りをするには、ポイントを整理し同意書の作成が必要です。共通理解のポイントとは、①死の兆候が現れてもAEDの使用、心肺蘇生をしない。(家族・主治医に連絡)②何があっても受診・治療しないということではない(緩和ケアは積極的に行う→痛みや苦しみがあり、周囲の者が見るに見かねる場合、誤嚥があって喉の痛みがある場合、死の直接的疾患の治療の場合など)③看取りをしていて本人の気持ちに変化があればいつでも変更可能④死を迎える具体的プロセスの家族の理解です。このことを同意書にて明文化しておきます。代理判断者である家族が納得して署名し、主治医の同意を得たもので、これの写しを主治医・ケアマネ等のすべての関係者に配布しておくことが重要です。このターミナルケアに取り組んだ結果、ほとんどの介護者は「あれも出来なかった」「これも出来なかった」と反省が多くなるが、「あれが出来た」「これが良かった」と振り返り、業務として達成できたことを評価して心を浄化し、ケアマネやワーカーを楽にしてあげることが大切です。
最後に、看取りについての法律はないので、みんなで相談し、話し合い、より良い支援を目指していくこと、それを記録に残していくことが重要です。