福祉用具・機器の基礎研修~触れて学ぶ福祉用具の選定と使用方法~
2016年9月7日
但馬県民局但馬長寿の郷、総合リハビリテーションセンター、西播磨総合リハビリテーションセンターそれぞれの福祉用具展示施設をお借りし、講師に但馬長寿の郷セラピスト中西智也氏及び竹内麻菜美氏、株式会社ひまわり住環境研究室長でセラピストの正木健一氏をお迎えして「福祉用具・機器の基礎研修」を開催しました。
人が自分らしい生活を構成する要素は、「くらし」「日常生活動作」「姿勢と動作」「身体機能」に分けられます。日常生活動作は、主な活動は座位、臥位と移動の3つの動作で成り立っており、介助の負担を軽減するためには環境を整えることが重要です。
基本的な生活姿勢は座位が多いのですが、安定な着座がなければ、背に負担が大きく危険であることを介助者が気づくことです。座位と姿勢の関係は重要です。24時間の生活で考えると、座ることの時間は長いもので、その安定度が求められます。座位の改善はすごく大事なことです。体(体幹)の上に顔があるから嚥下ができます。悪い姿勢のままだと内臓圧迫して食事ができないし、いろいろなリスクを招いてしまいます。このような場合、ご利用者はわからないので介助者が理解し、チームでアプローチすることが重要です。
介護に必要な三要素は時間・力・空間です。ベッドの高さを調整することは重要で、高さ調整・位置や向きの変更・作業空間の確保・スライディングシートなどにより、不自然な姿勢にならないようにすることです。どのようなバランスでケアするかによって介護者の負担が変わります。
本人の自立支援という観点からすると本人の能力を高める必要があります。環境整備は本人の能力が発揮しやすくなり、介護者の負担軽減になります。自分がしたい時にできるようになるために「ケアプランが自立支援」であるかどうかは一番重要なことです。
福祉用具の考え方は、安全・確実であること、本人の能力を発揮しやすいこと、介護者の負担が少ないこと、状況により手段を使い分けることにより、本人・介護者ともに負担が少なく、安全に頻度高くできること、さらに健康的な生活を送れることが大切です。
要介護度が高くなるほど活動性が低く、その分、褥そうなど二次障害が発生しやすいのでその予防と介護負担の軽減が必要です。要介護度が低いと活動性が高くなり、転倒などによる障害発生やそのことによる要介護度の重度化が懸念されるのでその予防が必要です。中度は身体機能を補う何らかの対策を講じる必要があり、それにより活動性・安全性が高まります。
健康的な生活を送るために、介護者の家族が考える生活と本人が望む生活のギャップを埋め、本人に関わるさまざまな人とのチームアプローチにより、モニタリングして理解を深めていく事が大切です。
研修の後半には、福祉用具展示施設に移動して福祉用具・機器の説明を受け、車いすの解説やスライディングシートの使用方法の体験をしました。たくさんの福祉機器・用具を見て、また、体験を通して多くのことが会得できた研修となりました。