【総会】
平成26年度の通常総会が、6月10日(火)に兵庫県民会館パルテホールにおいて開催されました。 平成25年度の事業報告・収支決算、及び平成26年度の事業計画・収支予算・役員の選任等、全ての議案 が了承されました。 なお、本総会をもちまして斎藤壽久会長、山下信行理事が退任され、新たに中林弘明会長、織田卓美副会長、沼田克理事、毎田糸美監事が就任されることとなりました。
【講演会】
「競合に打ち勝つ介護事業者とは…」講師:大坪信喜氏(川原経営総合センター)
1 はじめに
超高齢社会の日本にあって、私たち介護事業に携わる者が、その現状をどの様に捉え、今後どう様々な課題と向かい合う必要があるのかをテーマに講演していただきました。介護保険制度が施行され、10数年が経過し要介護高齢者数(特養待機者52万人)が増加する中、高齢者施策の一環として「地域包括ケアシステム」が在宅高齢者支援策として取組まれています。一方で、介護人材の養成、育成と定着(離職率17%)が喫緊の課題となっています。昨今の、この様な状況下での健全で効率的な事業運営のあり方について、川原経営総合センターの大坪信義氏の、講演会が行われました。関心の高さからか、180名近い方が受講されました。 2 講演内容
(1)「介護保険事業経営の現状と課題」 デイサービスと訪問介護の要支援者は、法から外れる方向が示され該当事業所は大きな影響を受ける予測がされているなど、大きな改革が行われようとしている。 (2)「雇用と競合」 介護事業経営を考えるには、雇用の課題として介護労働者の人材難があり、離職者が事業者間を渡り歩いている現状が問題(価値観の混在と事業所理念の浸透しづらさ)だとされた。介護事業は、「人」が商品であるサービスであり安定したサービスを創っていく上で、法人や事業所に対する、高い帰属意識のある専門職員を育成する事が求められている。事業者間の競合については、デイサービス事業者の淘汰は激しい。デイサービスは、報酬単価が高いが人員配置や建物の基準が、それ程厳しくない。利用者の新陳代謝を念頭に、利用者獲得の営業活動も意識しておくことが必要である。事業者は二極化(利益率20%と常時赤字)しており、適正な人員配置をはじめ硬直的な納入ルートによる物品発注単価等、コスト面の見直し等を進めていかないと生き残れない現状にある。 (3)「経営改善策とマネジメント」 各事業所における経営改善策や改革の重要な方向付けについて言及されました。1点目は、事業の生産性向上を目指した取り組み。介護報酬により積算された職員配置基準を熟知し実態との乖離を冷静に把握する。人海戦術的に増員してもサービスの質は向上しない。人が商品の事業であり、商品開発の観点から、教育投資、募集・採用投資を怠らない。知識・技術習得研修に留まらず、業務改善研修や組織マネジメント研修に傾注する。2点目は、科学的な経営を目指し経営分析(入院率・事故率・稼働率等)の視点を持ち、経営指標を現場と経営側で共有し月次確認を行う。例えば、デイサービスは稼働率85%以上、人件費率55%未満、利用者10人あたりの職員配置数4.3人以内、食材料比率10%以内を経営指標の適正値と考えている。3点目は、法人(事業所)の理念と方針を明確化し労使の価値基準を合わせる(対立軸とはならない)。理念とは、組織の存在や、事業所の存在基盤になりうる普遍的に追及できる内容であり言葉である。4点目は、日常的に現場と経営は一体化しているという職員意識を醸成し、管理者はその実態を把握しておくこと、更には、その役割を担う本来の現場リーダー(中間管理職)を的確に登用し育成していく事が求められている等に集約されました。最後に、アメリカのアンドナ・ブレナの「社会事業といえども良き思いだけでは存続できない時代になった。これからの社会事業には、企業が備えている戦略とマネジメントが不可欠になるだろう。」の言葉で締めくくりをされました。 当連絡協議会として、県下の多くの福祉・医療・介護の事業者の皆様に、現状の実践における振り返りと新たな学びの機会が提供できたと思います。
【交流会】
講演会終了後には7階の鶴の間において会員や関係者が集まり交流会を開催しました。 冒頭に中林弘明新会長が挨拶申し上げ、参集された50数名の皆様は、和やかな雰囲気の中で、情報の交換や歓談を楽しみ、新監事毎田糸美様の最後の一本締めで閉会となりました。