転倒・骨折予防実践研修 【講師】(有)サテライト 代表取締役 堤 道成氏
【講義内容の要約】
(はじめに)福祉・介護・医療等の事業所はリスクの多い業界であり、高齢者施設では、車いす・ベッド・入浴機器からの転倒、転落の発生率が高く、発生要因はヒューマンエラーが67%と高いのが実情です。「安全第一」の考え方は、製造業界で100年前に使われ、当時は、「生産」「品質」に次ぐ第3の位置付けでした。 しかし、頻発する労働災害事故の対応から、「安全」が第1とされ生産性・品質ともに向上した経過があり、「安全第一」が定着しています。
研修のポイントは、以下Ⅰ~Ⅵに集約されました。
Ⅰ 「魔女狩りをしない」意識の大切さ:事故要因を一つだけの原因や対策に留めない。①人②用具・道具③環境の観点から捉え、検証し改善する。 Ⅱ 福祉用具の効用:適切な福祉用具の活用(杖・靴・靴下・下着・マット等々)と、住環境の整備が予防に繋がる。 Ⅲ 事故分析:事故分析は、一人で抱え込まずにチームで行う。一つだけの理由、原因とせず、複合的な対応策が必要であり、ハード面でだめならソフト面(一人介助から二人介助等)を検討する等、分析を的確に行う。 Ⅳ 転倒予防のための筋力トレーニング(実技を交えた研修) 留意点 守らないと死亡事故になる場合がある。事前のウォーミングアップが大切。  ① 体調 ② 呼吸を続ける・声を出す ③ 水分 ※ 90歳を超えても筋力増大可能。まず、下肢筋力を鍛える。効果は3カ月後。 Ⅴ 安全確認対策:リスクに気づくトレーニングを、人・用具・環境の観点から実践する。 Ⅵ 法令:人は誰でもエラーを起こす。エラーの起こし方が問われる。
五つの義務・・・安全配慮義務・注意義務・予見義務・説明義務・結果回避義務 利用者事故・・・従事者個人が訴えられる。早い段階での対応、記録、家族との共有、研修の導入が大切。
※ 現場が助かる方向付けが必要=利用者が助かる。 ★堤講師は、最後に自分自身が実践者として「サービスを受ける方の喜びは、支援者からの言葉かけ。皆様の声かけが安心感に繋がっています。」と、締めくくられました。